Case #015: 歯肉の腫れ 11歳のボーダーコリー |日野どうぶつ病院|1

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Case #015: 歯肉の腫れ 11歳のボーダーコリー

今回の症例は、BW11kg, 11歳の避妊メスのボーダーコリーで、右下顎第4前臼歯(308)に腫瘤があるとのことで、来院されました。今年の1月ごろからあるとのことでした。

覚醒状態での患部の写真はこの通りです。

 右下顎の一番大きな奥歯から1つ前の部分です。

 反対側の同部医の歯と比べると分りやすいと思います。歯冠の形が正常とは異なり、歯肉にあたる部分に小さな腫瘤のようなものがあります。一見したところ吸収病巣のように見えますが、しっかりと診断する為に、日を改めて精密検査を行うことにしました。

術中写真をみると・・・、

 小さな「何か」が2つ見えますが、おそらく歯の一部だと思います。写真では分りにくいですが、盛り上がった腫瘤の一部は非常に赤く強い炎症を疑わせます。

舌側(内側)はこのようになっています。

ちょっと分りづらいですが、歯肉が盛り上がっています。

レントゲンでは右側はこのようになっています。

左側と比べてみましょう。

歯冠がほとんどなく、歯頸部の吸収が明らかです。歯根はどうでしょう? 歯根膜も根管も不明瞭ですね。レントゲン的には吸収病巣を強く疑います。

(Ref:  AJVR, vol 71, No.7, July 2010)

 今回は念のために、歯頸部とまわりの腫瘤を一塊(en bloc)で切断し、病理検査に出すことにしました。

 組織採取後、骨の断端をダイヤモンドバーで骨棘を取り除き、

 骨膜を切開し、歯肉粘膜フラップを作成し、

 テンションがかからない状態にして、

 4-0 Monocrylにて単純結紮縫合にて閉創しました。

現在組織を検査センターに提出し、病理検査が来るのを待っています。

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病理結果:重度の慢性歯肉炎

 
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