Case #050: 左下顎犬歯(304)、第1前臼歯(305)の含歯性嚢胞のフレンチブルドッグ |日野どうぶつ病院|1

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Case #050: 左下顎犬歯(304)、第1前臼歯(305)の含歯性嚢胞のフレンチブルドッグ

今回の症例は、知人の獣医さんがご紹介くださいました。乳歯抜歯時に口腔内レントゲンで発見されたとのことでした。レントゲンをまず見てみましょう。

向かって右側がの大きな歯が患者の左下顎犬歯304です。右404は少し萌出しており、その歯冠周囲の黒っぽいところと比べて、ずいぶん304の歯冠周囲が黒っぽいのはわかりますね。 

横からはこんな感じ。

304の近くに、横向きの小さな単根歯がありますが、これが第1前臼歯305でしょう。この2本は最低限抜歯する必要があります。またその際、できるだけ綺麗にその歯冠周囲の軟部組織も剥がしとらなければなりません。その組織が残ると、後でまた水が溜まる嚢胞ができてしまうことがあるからです。

歯肉を切開、剥離し、頬側骨を切削した状態です。埋まって見えるのが304の歯冠です。 ちっこい横向きの歯305もありますね。

304抜歯をしやすくするために、左下第3前臼歯(303)を抜歯しました。

歯を横断的に切削、切断し、エレベータによる脱臼の操作をしやすくします。下顎犬歯を抜歯するときのひとつの手段です。この時、あまり深くまで切削しようとすると、内側の骨をいためて抜歯時に骨折してしまう原因を作ってしまうことがあるので、だいたい4/5ほど削り、エレベータでパチンと割ります。

 頬側骨を切削し、歯を露出させ、また切断し、割ります。エレベータを歯根膜に入れ脱臼を試みる。

繰り返し行い、時にレントゲンを撮りつつ進みます。

 中オトガイ孔から出てきている下歯槽神経動静脈を傷つけないようにカバーしつつ、ギリギリのところまで頰側骨を切削します。

 なんとか抜歯できました。

 なんとか下顎骨を骨折させることなく抜歯できました。

 302根尖は、歯根膜腔が存在していると思いますので、抜歯せずこのままです。

 骨補填剤コンシール(Consil:活性ガラス)をつめ、

 レントゲンも撮り、確認。

  4-0Monocrylにて閉創。

念のため、採取した歯冠をおおっていた軟部組織を病理検査に提出し、腫瘍性疾患でないことを確認します。今回のなんとか無事に抜歯できてよかったです。チワワと比べると、まだがっちりしていてヒヤヒヤしながらやるという感じではないですが、歯が抜けるまで気は抜けないですね。

帰りは鎮痛剤がしっかり効いていたようで、機嫌は良さそうに私の方によってきてくれて嬉しかった〜

ちなみに、下顎管入口にブピバカイン、中オトガイ孔にリドカインの局麻を行いました。

 
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