Case #029: 108 破折 抜髄根充による治療
2018.09.06 歯科
まず歯石除去をし、108と409の歯周組織のチェックの為にプロービングデプス6点を測り、異常がないことを確かめます。
レントゲンをとりますと108の3根全ての根尖周囲の骨透過性の亢進を認めました。
次に、歯冠に穴をあけ、根管にアプローチできるようにします。
教科書にはどの部分にあけると良いということはかかれていますが、厳密にいえば、個体差があり、全てそのようにはいきません。やりはじめた頃は躊躇していましたが、今は1つのコツの通りに行えば、問題ありません。
2つの近心根にアプローチする為に1カ所、アクセス窩洞を形成します。
もう一カ所、遠心根にアプローチする為に調べています。
ピンポイントであけます。犬猫で抜髄根充をする際は歯質の切削は最低限です。人のように天蓋を全てあけることはありません。クラウンをするなら別でしょうけど・・・。
全ての根管にファイルを入れ、レントゲンをとり根長を確認します。
頻繁にレントゲンをとりながら、広げていきます。今回はちなみに近心根の2根は#6からスタートしました。最終的には近心の2根は#40まで、遠心根は#70まで広げました。
今回は破折後何年もたっていないからか、歯質の汚れは割と早くなくなりました。
フィットするガッタパーチャを入れてみます。
こんな感じです。
次に水酸化カルシウムを入れ、
それぞれの根管にガッタパーチャを次々入れます。
不要なガッタパーチャを取り除き、グラスアイオノマーセメントで裏そうし、コンポジットレジンで修復し終了です。
最終のレントゲンは2方向から撮っておきます。
2ヶ月後ぐらいに麻酔下でレントゲンにて経過観察の予定をしています。根尖周囲の骨透過性が減っていれば、経過は良いと判断します。半年毎に2年くらい追っていきます。
破折切歯(202)は費用と麻酔時間の短縮の為、抜歯となりました。
他の切歯は健常で、ものを咥え上げる機能は保てます。また今回の処置1度で完了できることなので、悪い選択ではありません。