Case #051: 口鼻瘻(ONF)の猫の相談 |日野どうぶつ病院|1

blog

Case #051: 口鼻瘻(ONF)の猫の相談

とある勉強家で知り合った先生からの相談の症例です。

高齢猫で、右上顎にONFがあります。他の歯にも大量の歯石が付いており、そのせいで口腔粘膜に潰瘍ができていて、その際にONFの閉鎖もしようとのことでした。高齢動物の歯石上のプラークによる潰瘍は多いですね。すごく痛がりますので、歯石除去だけでもやってあげたい。可能であれば抜歯をして根治治療をしたいところです。

口の中はこんな感じ。

そんなに大きく開いているようには見えませんが、なめてかかると痛い目にあいます。

通常はこんな感じでいけると思いますが、

どうもご相談いただいた先生はそれでは心配だったらしく、当日の朝急遽連絡があり、写真に記載してお送りしました。

手順は以下の通りです。

ここは思い切って完全に正常な部分で切開します。

 そして、歯肉粘膜フラップを作成します。108の抜歯もしますから、途中で縦に切開はしません。一つのフラップを作成します。

 次に口蓋粘膜フラップを作成します。鋭性に口蓋の正中を切開し、全層剥離します。

 「大口蓋孔」とありますが、口蓋裂孔の誤りです。大口蓋動脈を2箇所で結紮し、切断します。

 それを外側にスライドさせ、歯肉粘膜フラップと4−0Monocrylにて単純結紮縫合にて閉創します。

骨の部分は時間はかかりますが、肉芽組織が盛ってきて二次癒合します。

血管を傷つけないように口蓋を剥離すること、結紮とその縫合糸が抜けないよううまくやるのが注意点といったとこでしょう。経過観察は麻酔下でのチェックが必要です。

もともとその勉強会で見た時も手技がお上手な先生だったので、うまくできたと連絡をいただきました。

 
TOP