Case #091: 根管治療をした第4前臼歯の経過観察をしたコーギー |日野どうぶつ病院|1

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Case #091: 根管治療をした第4前臼歯の経過観察をしたコーギー

約2年半ほど前に破折により露髄した右上顎第4前臼歯を残す目的で根管治療を行ったWコーギーちゃんが、同居犬と喧嘩をして切歯を折ってしまったとのことで来院しました。
折れた切歯は、ほとんど歯冠は無くなっており、当然神経も見えている状況でした。保存しても歯としての機能はありませんから、手間暇お金をかけるだけ負担になりますので抜歯が良いでしょう。
このように神経が見える折れ方を複雑破折といいます。

右上第1(101)と第2切歯(102)が折れています。

10歳の高齢なので、エレベータでの単純抜歯では時間がかかるでしょうから、最初から外科的抜歯を行います。

歯槽骨を除去し、歯根を露出させます。

4-0Monocrylにて単純結紮縫合をし、閉創しました。

右上顎第4前臼歯は奥歯で最も大きな歯です。下顎第1後臼歯(下顎の奥歯で最も大きな歯)とともに、裂肉歯と呼ばれるペットとしての食肉動物では最も重要な歯です。特に、レジンが取れているなどの問題はありませんでしたので、歯石除去と研磨のみ実施し、レントゲンを撮って確認します。

初回、処置時の口腔内レントゲンはこんな感じです〜〜
これは各根管にファイルという象牙質を削る器具を入れて撮影してものです。根尖周囲の骨透過性が亢進しているのはわかりますか?

この黄色矢印で示した部分が根尖周囲の骨透過性が亢進した部分です。
通常、健常であれば、ここには骨と歯根膜腔の構造がしっかりとわかります。

2年半ほど前に処置をしたもので、この時はまだハンドファイルのみで根管形成し、水酸化カルシウムペーストを充填し、ガッタパーチャも側方加圧プラス垂直加圧で行なっています。

以前の治療後の経過観察(麻酔下でのレントゲン撮影)が十分にできていなかったため、今回良い機会なのでそちらの方も見てみます。

上のレントゲンとよく見比べてください。きれいに骨と歯根膜の構造が見て取れます。

通常、2方向から撮影しチェックします。最良の結果を得られており良かったです。
お疲れ様でした〜〜〜

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