Case #071: スタンダードプードル、脛腓骨近位1/3ほぼ単純斜骨折。AO分類4-1-A2 |日野どうぶつ病院|1

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Case #071: スタンダードプードル、脛腓骨近位1/3ほぼ単純斜骨折。AO分類4-1-A2

 
ご依頼いただいた症例です。大きめのプードル種、スタンダードプードルで6ヶ月齢、BW12.60kgです。原因は、はっきりは分からないが、ベッドぐらいの高さから飛び降りたのではないかとのことでした。

相談をいただいた時は、かなり近位の成長板付近なのかなと思っていましたが、やや離れたところでした。成長板を含む場合はキルシュナー3本でと思っていましたが、これはプレートによるしっかりした固定が必要と判断し、計画を練り直しました。

この位置の骨折には、現在はTPLOプレートがピッタリでしょう。何と言っても近位のスクリューを関節面に平行に打てるのが最大のメリットです。しかもロッキングなので、スクリューの緩みが生じにくい。問題はどのプレートをあてるかです。見ていられない時間帯もある。3歳のトイプードルが同居していること。まだ6ヶ月なので、成長分も考慮しつつ。。。

内固定マニュアルに載っているチャートを参考にします。2.7mmか3.5mmのDCP。

(この改訂版も持っていますが、古い方が見やすいので、たいていこちらでチェックします。)

次に、インプラントメーカーの基準も参考にします。

表向き公表されている数値と、実際にメーカーに聞いてみると異なっていたりします。。。

手持ちのインプラントを見てみると、これにフィットしそうなのは、2.7mm、 2.7mmブロード、 3.5mmスモール、3.5mmとありました。2.7ではやや心もとなく、3.5では丈夫すぎるような。。。2.7mmブロードがぴったりの印象。

昼間別の整形のオペがあって、それを急いで洗浄、滅菌し準備します。さらにスタッフが一人やんごとなき事情で帰宅したので、友人の獣医さんに麻酔管理をお願いし、夜9時、ようやくスタートしました。

だいたい2時間ぐらいで手術は終了。レントゲンはこんな感じです。

 最近よくやるTPLOの術後レントゲンみたいになりました。

骨折ラインもほどんどわからないぐらいに解剖学的に整復できているかと思います。腓骨も2方向で見て重なりがあります。近位の、おそらく尾側のスクリューが正しい方向に向かっていません。術中、骨鉗子で仮固定しつつドリルスリーブをプレートにねじ込む際、ほんの少しネジかみが甘くなってしまったのでしょう。天地水平、何度もチェックしつつ行いますが、このようなことは時に生じてしまいます。鉗子やらキルシュナーやら入り乱れているところにスリーブをねじ込むのは時に非常に困難なこともあります。プレートにスクリューヘッドがしっかりと収まっているので、固定力に大きな問題はないと思われます。プレートサイズはピッタリかやや大きめな印象ですが、これからの成長分を考慮すればちょうど良いかな。プレートが破損することはまずないと思いますが、スクリューが折れなければこのままの状態で癒合すると思います。

同居犬がいることなど考慮して、自宅にはしっかりした屋根もあるケージを用意して、自宅入院という感じで管理してもらえることを約束してくださいました。

綺麗に治りますように!

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