Case #093: 高所より落下の若い猫ちゃん。AO分類1-3-B2 |日野どうぶつ病院|1

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Case #093: 高所より落下の若い猫ちゃん。AO分類1-3-B2

コロナがまだまだ続く中、忙しく働かせていただいています。
ブログのアップをしなければと思いつつ、今日はもう8月31日、残すところ30分を切りました。。。ふ〜〜〜〜
今月、印象に残った症例をアップしますね。

まだ、生後数ヶ月の若い猫ちゃんです。高所から落下したとのことでした。
来院時、血液検査で肝臓の数値が高かったので数日、待機期間を置きました。落下の際、腹部も強打して肝臓を挫傷したのでしょう。
一旦帰宅してもらって、食欲元気がやや出てきたところで、再度来院してもらい、血液検査で数値が下がったところで手術の実施としました。

オペ直前のレントゲンはこんな感じです。
右上腕骨遠位の内顆骨折です。
AO分類では、1-3-B2となります。
見慣れたか確かわかりづらいかもしれません。Rのマーカーがついている方が右前肢です。
肘の直上、上腕骨の遠位端です。非常に難しい骨折治療のケースです。
周囲は筋肉と腱が複雑に絡み合っているだけでなく、血管神経系も入り組んでおり、術後の合併症も起きやすいところです。
骨折の整復自体も、関節内骨折ですから解剖学的整復(完全に元どおりの位置に復元する)を要求されます。
難易度、上の上かなぁと思っています。

最終的には、こんな感じで仕上がりました。

尺骨をオシレートソーで切断し、関節内を完全に可視化します。骨折面から下穴を開けておき、次に骨幹部を骨鉗子で把持しつつ、関節面を合わせます。
完全に整復できたところで外顆と内顆もきっちりと骨鉗子で把持します。今回は、2.0mmコーテックススクリューを外側からグリグリと締め込んだのち、こちらもあらかじめ骨折面から開けておいた下穴を通して、斜めにキルシュナーワイヤーを刺入し、固定。切断した尺骨もテンションバンドワイヤー方にて元どおりに整復固定して、筋肉、皮下、皮膚と閉創して終了です。

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