Case #019: 右上顎第4前臼歯の破折の犬


右の上顎の第4前臼歯が折れてしまったワンちゃんの治療についてです。上顎第4前臼歯は、犬では裂肉歯といって、食事を食べる為に食塊を小さく切るために、現代のペットの犬や猫においては最も機能的に重要な歯です。この歯が折れるのは、ほとんどの場合分厚くて硬すぎるおやつなどを咬んでいて起きていまいます。本例はまだ2歳と若いので、今後のことを考えてできるだけ残してあげたいという飼主さんの希望です。

上顎の奥から2番目の歯ですが、先っちょの方に赤い点があります。歯髄が露出しています。また、一部の歯の破片も残っています。

患歯のレントゲンです。まだそんなに時間は経っていませんので、根尖周囲病巣は見られません。でも、感染は通常起きてしまっています。

残りの破片を取り除くとこんな感じで、そんなに根尖側に深く破折が及んでいないことが分かりました。

近心と遠心に1つずつ穴をあけ、トランスコロナールアプローチにてファイルを書く根管に入れ、根長を測定します。

レントゲンをとるとこんな風に、細いファイルが各根管に入っているのが分かります。以前の症例では、近心口蓋根に入りませんでしたが、今回はしっかりとはいっています。

1本ずつ、こつこつと切削して詰め物ができる広さに仕上げます。108(や208)は、3根歯なので、手間はかかりますが、根の形態は割と素直にまっすぐなので、削ることは難しくはありません。

近心根は#45まで、

遠心根は#60まで広げました。

細い根管がかろうじて見えます。

キッチリ先まで届くガッタパーチャを入れます。一旦抜いたあと水酸化カルシウムペーストを充填し、再度ガッタパーチャを入れ、プラッガーなどで押し込んで何本かの細めのガッタパーチャをつめつめし、グラスアイオノマー、レジンを用いて修復して終了です。(細かいところは省いています)

仕上がりの状態です。

2方向からレントゲンをとり、問題がないことを確認して終了です。

少しずつ作業時間が短くなっているような気が毎回するのですが、今回も3時間でした。

歯内治療は時間がかかりますが、動物が帰宅する時は抜歯の時よりも元気に帰ってくれる印象です。犬や猫の抜歯は、歯周病でぼろぼろになっていない限り、ほとんどが外科的抜歯が必要です。人の親知らずを抜くのと同じ要領で、歯肉を剥がし、骨を削って、歯を取り除くのです。かなりダメージを与えてしまうという点もあり、歯の中の治療だけで済む歯内治療を行える場合は、その方が動物も楽だろうと感じています。

#犬 #上顎第4前臼歯 #歯内治療

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