Case #054: 14歳のチワワ、重度の歯周病、基礎疾患多数。

July 13, 2019

数日前に行った14歳、未去勢オスのチワワの歯科治療の内容をアップします。

 

このワンちゃんは僧帽弁閉鎖不全、腎機能低下(BUN72, Cre2.0)、甲状腺機能低下症、てんかん発作ありで、ずっと通院されています。

 

主訴は、右上顎第4前臼歯に大量の歯石がついていて、その歯を磨くととても痛がる、とのことです。咬合はクラス2の不正咬合。覚醒状態で、少し口元にものを持って行って、怒って口を開けた時に写真を撮ると。

 

頰側だけでなく、口蓋側にも歯石が張り出しているのがわかります。

 

奥様から、歯磨き時にこの歯だけとても嫌がる、歯がぐらついている、なんとかしてほしい。と言われていました。しかし、これだけ持病を持っていては。また、残念ながらこのワンちゃんから受ける印象は、虚弱体質な感じです。なんとかしてあげたいですが、かなり麻酔のリスクは高いと言わざるをえません。また、無事に手術が終わったとしても、その後本来の寿命で1ヶ月後にその日が来るのかもしれません。それでも、治療により、(きっと楽になると思いますが)痛み、違和感の少ない生活を、少しの間でも送らせてあげられれば良いと思えるかどうか。 こんないや話をさせていただき、家族の方で話し合っていただいた上で、この歯を抜歯するだけの手術をすることになりました。

 

術前点滴、術直前からドパミンCRIで腎血流量を増やし、酸素テントで酸素化をまずじっし。プロポフォールをto effectで投与し、挿管、イソフルランで維持。目標は30分以内に終了です。

 

口の中の状態は、

 

  

 108、下顎切歯に大量の歯石が付着しています。

 

108のみ口腔内レントゲンを撮ります。完全に108の周りのコツが吸収されています。

動揺があるとはいえ、重度の歯周病により外部吸収が起きていて、根尖が残る可能性があります。

慎重に除去し、

 

膿が溜まっていますので、慎重に除去します。

 

 骨棘を削り取り、

 レントゲンでチェック。残根らしきものはありません。

 

骨膜を切開し、歯肉粘膜フラップを作成し、4-0Monocrylにて単純結紮縫合にて閉創。

実は肛門周囲腺腫もできているので、この間に術野の準備をしています。可能ならそちらも。

 

 下顎切歯も大変なことに。。。歯石除去後、同様のひどいものだけ抜歯して、閉創。

 

全身状態の変化に注意しながら、反対側もチェックします。

309も歯石だけでなくひどい動揺がありました。レントゲンを撮ろうとしましたが、うまく撮れません。

 

 もう一度撮りましたが、大して変わらず。顎骨折も可能性はありますが、経験に頼って鉗子にて慎重に抜歯。さらに、208の歯石を除去し、時間は30分を少しオーバーしました。

少しSpO2が不安定になったため、これにて終了としました。

 

108の処置がスムーズに終わったため、口の中をある程度治療することができました。

お尻もやりたかったけれど、まずこれでどのような変化が起こるか見てみることに。

 

点滴の入れすぎに注意し、抜管後も酸素テントの中で状況を見守りました。

比較的スムーズな覚醒でした。

 

その日の夕方、家族の方が迎えに来てくださり、ひとまず退院。

すぐに電話がありまして、なんかすごく食べたがっているのでいいでしょうか?とのこと。後ろでわんわん元気に鳴いている声が聞こえていました。通常は与えないのですが、少しだけオッケーしました。

 

翌日の来院時、口の痛みはなさそうだとのこと。食欲もあり、皮下点滴をしようとしたら元気に向かってきました。若干動きがいいような。

 

またその次の日にも来ていただくと、手術前より元気に動いていますと、嬉しい反応。

家族の皆さん、とても喜んでくださいました。

 

 

<<一言>>

口の治療をしてあげると、動きがとっても良くなることが多いです。でも、今回はそれを目標にしたわけではなく、一本の大量に歯石がついた歯の除去が目標でした。その目標が無事に果たせただけでなく、QOLが大幅に改善され、本当によかったです。家族の方の決意が、良い結果に結びついた症例でした。結果オーライです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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