Case #077: 重度歯周病をともなう下顎両側骨折、トイプードル
今回は依頼いただきました、落下によって、下顎両側が骨折したトイプードルの症例です。おとなしかったので、無麻酔で一般レントゲンでチェックしてみました。
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下顎骨は重度歯周病により重度の水平吸収が起きていました。下顎管より背側のコツがほとんどないような状況です。
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術前のプランニングはこのような感じ。9穴の1.5mmロッキングプレート(リコンストラクションタイプ)をX-Y-Z方向にカントゥアリングし、外腹側から斜め頭側に向かって打つ予定です。
一般的に下顎骨の骨折は、歯冠に近い位置を歯冠ワイヤリングなどで固定し、食べるなどの咀嚼運動により腹側の分厚い皮質骨に自然に圧が加わり、コツ融合は比較的スムーズに進みます。しかし、今回は腹側の皮質骨のみで固定するしかない感じでした。
さて、口の中を見てみましょう。骨折して4日ほど経過しての状態です。
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ガクンと斜めに角度がついているのがわかるでしょうか。
不良肉芽を掻爬してみると、
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中は比較的きれいな状態に見えます。開いたところは、PDS3-0にて縫合しておきます。
体位を変え、仰向けにし、正中切開一箇所からアプローチします。
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左側から、整復固定をしていきました。
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専用のベンディングプライヤーのレアな活動時間です。これでしか立体的なベンディングができません。
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骨折ラインも比較的きれいな感じです。可及的に不良肉芽を掻爬します。
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細かい作業です。
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無事終了し、閉創です。
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マーカーが左右逆においてしまっていますが、仕上がりのレントゲンはこんな感じです。
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向かって右側が左下顎です。プレートの上(頭側)の部分は、下顎管で脈管神経の通り道。通常はそこより上にも、コツがあるのですが、ほとんどありません。なかなか厳しい手技を要求されました。
オペ当日に退院されて、すぐに水を飲んだりできました。1週後の経過も順調とのことでした。
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2週後の抜歯時の様子です。
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綺麗に乾いています。
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わんちゃんの表示が全てを物語っていますね。
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犬にも人と同じく表情筋というものがあり、人と同じく嬉しい、怖い、そういう感情を表現することができます。
これから、飼い主さんには下顎骨の萎縮を最小限にするために、主に口を開ける動作をできる範囲で行っていただきます。