Case #072: ハスキー、4歳、雌の108破折・・・抜歯。
2020.02.20 歯科
最初にメールで送られてきた写真を見てみましょう。
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主咬頭、遠心の咬頭も破折しているようです。趣向等に縦に黒い線が見え、破折面に歯石も見えます。本来の歯肉のラインより、大きく形が変わっています。かなり、歯根にも破折が及んでいるように想像できます。109にも破折があります。破折できた犬はしっかり全顎において他に破折歯がないか、写真を撮ってみてみるといいですね。
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挿管後の、口腔内写真です。患歯以外は、いかにも健全そうな歯肉ですね。歯周ポケットは、108は頬側1-5-3, 口蓋側1-1-1(mm)でした。
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レントゲンは全顎でチェックします。
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近心根のどちらかと遠心根の混戦周囲の骨透過性が亢進していると思われます。
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角度を変えてもう一枚。
裂肉歯の破折の場合、特に対合歯と反対側の裂肉歯もプロービングとレントゲンをしっかり行い、保存の優先順位を決定します。
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根尖周囲の骨の状態は208と比べるとかなり歴然とした感じです。
年齢が比較的若いですが、破折の程度が重いので、抜歯を提案し、了解していただきました。
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歯肉を剥離すると、こんなになっていました。髄室は大きく露出し、歯槽骨も骨折し、破折片とともに取れてしまっているようです。
私は遠心根から抜去しますが、思いの外、根は細長く、遠心根は簡単に抜けましたが、近心根は正直手こずりました。
レントゲンは2方向から、しっかり確認し、
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残根がないことをレントゲン的にも確認します。
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大変な処置だと、写真を撮るのを失念しがちで・・・。途中の写真はないですが、このように閉創しました。
抗生剤は術前の1本のみで、術後の鎮痛剤のみ3日分処方しました。
原因は、鹿の角など与えていたとのことで、やめていただくよう指示しました。
ホームセンターやペットショップにある硬いものは、多くのものが不適切です。手で曲げても曲がらないもの、ハサミで切れない硬さのものは、一切犬に与えてはいけません。誤った情報がいつまでの無くならないのはなぜでしょう・・・。