Case #003: 猫 交通事故 下顎骨骨折 |日野どうぶつ病院|1

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Case #003: 猫 交通事故 下顎骨骨折

ある日、飼い猫が交通事故にあったらしいが、その後帰ってこないという電話相談がありました。かれこれ1週間ほどたっているようです。

翌日、偶然自宅に帰ってきていたの幸運にも保護できたといってその猫が来院しました。外傷は左の顔面頭部のようです。レントゲンにより、横隔膜や膀胱の破裂はないようでした。頭部レントゲンでは、下顎骨の中央で離断し、左下顎骨の関節付近で骨折しているようです。顎関節は問題なさそうですが、この付近は構造が非常に細かく繊細なので、レントゲンだけでの判断では心配です。事情を説明し、友人の動物病院で時間外にCTをとってもう様お願いしました。

 使用できるファイル形式の制限により、動画でのアップができませんが、この絵のように、CTでは3D画像を構築しより正確にイメージする事ができます。それによると関節突起は折れていませんでしたが、関節突起付近で粉砕骨折をしているようでした。この部分の固定は筋突起自体が非常に薄くペラペラなので、固定できる部分は非常に制限されています。

計画したオペは、1)下顎骨正中の離解をワイヤーにて固定する。2)粉砕骨折を起こしている下顎骨を1.5mmスクリューとプレートにて固定をする。3)上下犬歯を左右それぞれレジンで接着・固定し、顎間固定をする。以上により、粉砕骨折を起こしている部分の骨化を期待します。

この手術をしても、もしかしたら、1)変形融合し、歯が軟部組織を傷めてしまう事になるかもしれません。また、2)顎関節のアンキローシスといって顎が動かなくなる事もあるかもしれません。1)に対しては問題となる歯を抜く事で対処します。2)に対しては、融合したとしても、関節突起をとりのぞく手術をあらためてしなければならないかもしれません。

あと、顎間固定をした場合、術後上手に食べられない猫がいます。今回は、事故後完全に食べられなかったことで体重が1kg以上落ちていますから、維持量以上の栄養補給が必要です。よって鼻からカテーテルを入れ、流動食を流して給餌する事としました。

以上、飼主さんに全てお話し、了解をいただきました。使用する材料の関係で、来院の翌日になりましたが。オペを行いました。

 

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