Case #002: 猫 脛腓骨遠位端 粉砕 骨折 |日野どうぶつ病院|1

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Case #002: 猫 脛腓骨遠位端 粉砕 骨折

 

経過観察(2018/03/23)

創外固定で治療を継続している猫ちゃんのその後の経過です。

2週ほど前から少し跛行(いわゆるびっこ)がではじめ、抗生剤の内服で経過観察をしていましたが、変化はあまりありませんでした。少し遠くからの来院のため、1週後に麻酔下で固定の状況を全身麻酔下でチェックをすることにしました。

治療のプランとしては、全身麻酔下でまず固定の状況をチェックしながら、外していきます。現在ある固定を全て取り除くのではなく、創外固定だけを外し、髄内ピンでもうしばらく維持をしようと思いますが、今の髄内ピンだけでは少し心配ですので、もう1本髄内ピンを入れる事ができたらなと。そうすれば、これは私のイメージですが、外す前の強度が10とすると、創外を取り除いて一本の髄内ピンだけにすれば強度が2ぐらいに落ちるのを、4ぐらいで維持できるかなという感じです。

まず、近位の創外ピンをゆるめ、ロッドも外します。すると遠位の固定具は動揺が見られました。また、内方と外方にストレスをかけてレントゲンを撮って、幸い骨折部位に大きな変化はないので、ある程度治癒しつつある状況だと思われました。同様があるという事は全く機能していないということになるので、全て固定具は外し、髄内ピンを入れていきます。もともとあったピンは関節面に近くなっているようにみえたので、それを少し抜いて微調整します。

 抜管してからのレントゲンになってしまったので、綺麗なモノではないですが、創外固定を外し、1本髄内ピンを追加したレントゲン像です。

引き続きケージのなかだけの生活を続けてもらいます。予定としては1ヶ月で骨融合してくれたらなというところです。

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経過観察(2018/05/21)

膝関節の皮膚に穴が空いて、跛行があるとのことで来院がありました。

レントゲンを撮ったところ、脛骨(太い方の骨)はまだ融合しきっていないようでしたが、腓骨(細い方の骨)は完全に融合しているように見えました。

少し遠方の方なので、そのまま預かって麻酔下でピンを抜くこととしました。抜いたあとのレントゲンは下のものです。

正面から見ると脛骨の骨折ラインはまだ残っています。正面像、側面像両方で腓骨の融合した部分はかなり骨が多いです。患肢は下腿部の長さが若干短くなっているように見えます。

アライメントのズレは最小限だと思います。 念のため、内方、外方にストレスをかけてレントゲンを撮って、脛骨の状況を見てあります。

脛骨が完全に融合していないと思われますが、臨床的にも不安定性は認めないこと。可能性として、もともと開放性骨折だったので、インプラントが存在することによって浄化されにくいことが遷延融合につながっていると考えられたので、2本の髄内ピンを抜去しました。猫だから抜いても良いだろうというのもあります。

もし、この猫ちゃんが再骨折するようであれば、改めて開創し、骨折端をダイヤモンドバーなどでデブライドメントして、自家骨をおき、プレートとスクリューによる内固定をするかな。

3月の正面像のレントゲンと見比べると、3月の時は若干外側に湾曲しているように見えますが、今回のレントゲンではほぼまっすぐになっているように見えます。髄内ピンを2本にしたことが良い結果にむすびついたのでしょうか。

 

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